『納得屋』

・悠と良仁

そしてそれを聞き終えた良仁は、

良「まさか、そんなことを企てていたなんて！」

悔しそうに手を力強く握りながら言った。

悠「会社についての話というのが何かは分かっていただけましたか？」
良「あっ、すみません。取り乱してしまって。会長と井坂が私を追い出して会社を自分達のものにしようとしていることはわかりました。でも、なぜ２人のこんな会話をあなたが盗聴しているんですか？」

良仁は悠の存在を思い出し、取り乱したことを謝罪した後そう言った。

悠「それは莉子さんと関係があるからです。」
良「莉子がですか？」
悠「はい。これは私の予想ですが、さっき岡村さんが言っていた『取引』が莉子さんとかかわりがあるはずなんです。」
良「何故です！？莉子には何も伝えていません！」

良仁は莉子が関わっているはずがないと少し声を荒げてそう言った。

悠「私は３日前に莉子さんに会いに行ってきたんです。」
良「３日前…。」
悠「はい。岡村さんはその数日前から出張でこっちに来ていたんですよね？」
良「はい。」
悠「実はあなたが出張に出たその日の夕方に莉子さんから一度依頼取り消しの連絡がありました。とても不自然なメールで。」

悠はメールを印刷したものを良仁に見せた。