『納得屋』

・悠と良仁

良「『取引』の内容を聞いて理由がわかった……まさか！」

何か思い当たることを見つけたのか、信じられないという顔で悠を見る良仁。

悠「多分、岡村さんの思っているまさかです。会長と井坂は経営が回復してきたのを良いことに、岡村さんの企画も会社も、莉子さんの実家の土地もすべてを手に入れるつもりでいるんでしょう。でも、そのためには今あなたと莉子さんに離婚されてしまったら『取引』が成立してしまい、あなたの成功が奪えないと考え、莉子さんに依頼を取り消すように言ったんでしょう。」
良「なんて強欲な！何を考えてるんだ信じられない！」

良仁は怒りのあまりドンッと机を思い切りたたいた。

悠「怒る気持ちはわかりますが、落ち着いてください。」
良「あっ、すいません。お見苦しい所をお見せしてしまって。それよりも、どうして会長が私と莉子の話を知っているんでしょうか？」

良仁ははっと我に返り、申し訳なさそうにそう謝罪し、ふと疑問に思った事を口に出した。。

悠「いえ、気にしないで下さい。取り乱すのは当たり前ですから。…それで、これを見て下さい。これは井坂が莉子さんに持ってきた写真です。」

悠はリクと良仁が写っているあの写真を机の上に置いた。