・最終準備

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清「そうよ。どうもずーっと子供ができなくてやっとできた子だったらしいわ。両親の溺愛っぷりは有名だったらしいわ。それに、家の中ではすごーく良い子だったらしいわ。親に逆らう事もなく、勉強もできて。」 槙「あぁ、なるほど。」 識「家では良い子、外で悪い子ってことですね。」 清美の話を聞いて納得したようにそう言う槙と識。 清「そうそう。で、先代の社長は『もうお前に任せとけばこの会社も絶対に安泰だ。』って言いきって息子に会社を任せて今はのんびりまったりした生活を奥さんとしているみたいよ。」 槙「…先代の社長がいるときから働いている人とかは今の状況をどうにかしようと動こうとはしなかったんですか?」 清美の話を聞いて疑問に思った事を口に出す槙。 清「もちろん動いたわよ。でも、今の状況を資料を持って説明しに行っても『そんなことありえない。あの子がそんなことをするわけがないだろう。』って否定されたって言ってたみたい。それでも何度も諦めずにどうにかしてほしい思いで先代の所へ足を運んだって。」 識「それでも信じてもらえなかったんですね。」 清「えぇ。それどころか、そのことが息子の耳に入ってしまってその人たちはクビになったらしいわ。その事を少し不審に先代も思ったみたいだけど、息子がなまじっか頭が良いからうまくごまかしたみたいだけど。」 清美は呆れた様にそう言った。
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