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識「出ても良いよ。あそこに車停めるから。」
槙「わかった。…んっ…ん…。」
槙は何回か咳払いをして通話のボタンを押した。
なぜ、槙が電話に出る前に咳払いをしたのかというと、今の声よりも低い声に変えるため。
槙は低く、識は高く声を変えることができる。
槙「もしもし。」
依頼人『あ、あのメールを見てお電話させていただきました。』
槙が電話に出ると、依頼人の緊張している声が聞こえてきた。
槙「お電話ありがとうございます。私『納得屋』店主の得屋悠と申します。お名前お聞きしてもよろしいですか?」
依『え、えっと…あの…。』
どういっていいのか困っている依頼人に槙は、
槙「実際に会わないと信用していただけませんよね。」
優しい声でそう言った。
依『…はい。ごめんなさい。私が依頼を申し込んだのに。』
依頼人は申し訳なさそうにそう言った。
槙「大丈夫ですよ。最初から信用していただけるとは思ってないですから。それで、信用していただくためにも直接お会いしたいのですが、何県のどのあたりに住んでいるのかということと、苗字だけ教えていただけませんか?」
槙はそう言いながら識の方に目を向けた。
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