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井「……これがどうしたというんです。会長に用があって訪ねただけですよ。」
井坂は写真を見て、少し間を空けた後そう言った。
悠「OSTの会長と社長は非常に仲が悪く、会長派、社長派に別れていて、お互い必要最低限の関わりしかないはずですが、あなたは良仁の秘書なのにわざわざ仲の悪い会長の家を訪ねるんですか?」
悠のその問いに、
井「……お前どこまで知っている?」
井坂は口調を変えてそう聞き返してきた。
悠「すべてを知っていますよ。あなたが何故、社長秘書のふりをして莉子さんに近づいたのか。…今、OSTを乗っ取ろうと会長と共に動いていることなど。色々と調べさせていただきました。」
井「何でそんなことまで調べる必要があるんだ。奥さんの依頼はそんな依頼じゃなかっただろう?」
悠「そんなことはないですよ。関係があるから調べたんです。」
井坂の疑問に淡々と答える悠。心の中では、
悠(何か妙に冷静ですね。もう少し取り乱すと思っていたんですけどね。でも、心の中はそうでもないかもしれませんね。莉子さんが帰ってこないことに疑問も抱かないなんて。)
目の前の井坂を見ながらそう思っていた。
井「調べた?だからどうした。というよりも、どうして俺が社長の奥さんに近づいたのか。本当に理由が言えるのか?それに俺が会長と会社を乗っ取ろうとしているというちゃんとした証拠はあるのか?」
井坂は悠が言った『全てを知っている』という言葉をはったりだと思っているのか、ニヤリと笑いながらそう悠に言った。
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