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悠「そうですね。あのすごく疑問に思ったことがあるんですけど、どうしてあの男にすべてを任せなかったんですか?」
悠はずっと疑問に思っていた事を聞いた。
井「……最初はあいつにすべてを任せようとも考えた。でも、あいつに任せたら計画案の代金とは別に500万が必要だった。そんな大金を払うとなると、と考えたんだ。それに……。」
悠「それに?」
井「あいつに任せたら後戻りできなくなると思ったんだ。」
悠「後戻りする気でいたんですか?」
井「自分できる所までしてダメだと思ったらすぐにやめようと思っていたんだ。」
悠の問いに井坂は頷いた後、そう答えた。
悠「でも計画は順調に進み、後戻りをする必要はない。と思っているときに私が現れたということですね。」
井「そうだ。もう計画も最終段階、今更後戻りなんてできない…いや、後戻りしようとも思わなかったんだ。ここまで順調に計画を進めることができて、自分を過剰評価してたんだ。多少のアクシデントなんてどうってことはないと思っていたんだ。まぁ、結局見事に計画は失敗、それも最悪の形でな。」
井坂はそう言って『フッ』と自嘲の笑みを浮かべた。
そして続けて、
井「まだ何か聞くことがあるのか?」
と聞いてきた。
悠「いえ、私の話は以上です。」
悠はそう答えた後、良仁の方を向いた。
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