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悠「どういたしまして。あっ、そういえば会社の方はどうなりましたか?」
悠は良仁の方を向いてそう聞いた。
良「はい。次の日に役員達を全員集めて、井坂と会長のしようとしていた事、井坂が役員に言っていた事は事実ではないことを伝え、2人の今後の事について話し合いをしました。」
悠「井坂はその日ちゃんと会社へ来ましたか?」
良「はい。来て自分の口からすべてを話し、その場で謝罪をし、引継ぎが終わり次第退職すると皆の前で言いました。」
悠「…そうですか。会長の方はどうでしたか?」
良「当然会長の座を退いてもらう事で意見は一致したんですけど…。『何を言っているのか私にはわからない。』、『そんなことするわけがない。』に始まり、私が得屋さんからいただいたデータを流すと慌てた様に『井坂に脅された』、『これは真実じゃない。』なんてみっともなく言い訳をしていました。聞いているこっちが恥ずかしくなりました。」
良仁はその時の状況を思い出し、顔をしかめながらそう言った。
悠「でも会長の座を退かせられたならよかったですね。」
良「はい。」
悠「…でも放っておくとまた何かしそうですね。」
悠は何か考えるように少し間を空けてそう言った。
良「私もそう思います。なので、世話役として1人見張りをつけることにしました。」
悠「それが良いと思います。…井坂の方は何かしそうでしたか?」
良「いえ、彼はもう何もしてこないと思います。…実は、次の日ちゃんと井坂が来て真実を自分の口から伝えたなら、クビではなく、異動、降格で済ませても良いと考えていたのですが、井坂はそれを拒否して退職を自ら申し出たんです。『自分はこの会社に残る資格はないから。』と言って。」
悠「そうですか。確かに、井坂はもう何かするという事はなさそうですね。」
良「私もそう思います。」
悠の言葉に良仁は頷きながら同意した。
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