サンタクロース

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子どもはもうワケがわからず、頭を抱えてサンタと名乗る2人から後ずさりながら離れた。 「ご、ごめんなさい」 「え?」 子どもの背中になにか柔らかいものがあたり、何だろうと振り返る。 しかし急に眠気に襲われ、子どもは背中に当たったものの正体を見る前に倒れるように眠った。 「きゃっ!?あうう…」 眠った子どもは後ろにいたもの―――新しいサンタに倒れこみ、新しいサンタは子どもをなんとかキャッチ。しかし子どもは意外に重く、しりもちをついた。 「くー……」 「うぅ…とりあえずベッドに…壊れてる。えい」 サンタの掛け声とともに先程、破壊されたベッドは時間を巻き戻すように直っていく。 ベッドだけではない。 部屋の内装、部屋の外、家のすべての悪いところが次々と直っていった。 「こ、こんなものかな?」 新しいサンタはよいしょっと子どもをベッドに寝かせ、肩まで毛布をかけた。 「えっと、この子が欲しいもの…」 そして子どもの頭に手を当てた。 「それでここからここまでの記憶を……削除(デリート)」 子どもは少し苦しい表情を浮かべたが、すぐに笑顔を浮かべた。 「よし。プレゼントは…えい」 サンタの手に、新作のゲーム機であるPSP10000が現れ、それを子どもの枕元に置いた。 「ふふ…メリークリスマス」 3人目のサンタは、マイペースに作業を終え、子どもを優しく撫でた。 その後ろでは、2人のサンタがまだ言い争っていた。 「だからアンタは無能なのよ!!この無能!!いや、無能以下よ!!無能に謝りなさい!!」 「無能じゃねえ!!俺には幸風(ゆきかぜ)っていう名前があるだろうが!!なんですか?もしかして俺の名前すら覚えられないんですかぁ?説教長えし、それじゃあババァだな。それも痴呆症になってるババァだ。てめぇこそババァに謝れ!!こんな若いのにババァでごめんなさい。私のせいでババァの平均年齢を大幅に下げてしまいました~てな!!」 「あんですって~!!」 「やんのか~!!」 「はわわわわ……どうしよう…」 2人のサンタの気迫に、3人目のサンタはどうすればいいのかわからなかった。
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