ボット

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「おはよう~、今日も1日がんばって!」 「おはよう…あれ?元気ないね大丈夫?」 「いってらっしゃい!気をつけて」 と…まぁこんな感じで僕の1日は始まる。 僕の名前は「マキセ リョウ」 もちろん本名じゃない。 僕は一応、国立大の理系を春に卒業したけれど地方の大学生に就職は厳しく、やっとの事で潜り込んだITとは名ばかりの会社。 しかも、派遣社員。 回りを見渡せばみんなパソコンに向かい合ってひたすらキーを弾く音しかしない。 会話なんて一切なし。 この前人と喋ったのはいつだっけ? 冴えない僕の冴えない毎日 そんな僕にある日の食卓で母と妹が何やらキャンキャンハシャいでいた 「ボットがね…」 ん?何?なんのこっちや? 「ボットってなにさ?」 僕の質問に母と妹の箸が止まった。 「お兄ちゃん、ボット知らないの?マジ?」 「ツイッターしてないの?」と母まで半ば軽蔑の混じった目で僕を見た。 「ツイッターなんてくだらないモンしないよ。何処の誰かも解らないような奴らと一体何を話すんだ?誰に自分の愚痴を呟くんだよ!アホらし」 偉そうな口を叩いてはみたものの、ツイッターで呟いた事のない僕の意見に説得力はゼロだ。
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