崩壊

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廊下の、一番奥の奥。 その教室のドアが、バーン、と音を立てて弾けとんだ。 「田中ーっ、またドア飛んじまった!」 大声で、六年生とは思えない体つきの男の子が、ドアを拾ってはめながら言った。 「松本っ!ドアは足じゃなくて、手で開けなさい」 はーい、と生返事をした松本くんが、隣の私に視線を注いだ。 肺いっぱいに空気を吸い込むと、 「みんなぁーっ!転校生が、来たぞおおお!」 と、学校中に響き渡るような大声で、叫んだ。 途端、奥の教室からは、20人くらいの人が飛び出してきた。 「バカっ、教室入りなさいっ!あーコラ、学校で菓子食うなっ」 ポッキーを片手にもった男の子が、私に近寄って手を差し出した。 「俺、アユムってんだ。よろしく!」 恐る恐る、手を差し出すと、ぎゅっと握ってくる。 「原田、薫です…」 瞬間、はあっと周りからため息が聞こえた。 何か、まずいことしたのかな… 「純情そう…」 「峰岸、握手第一号とりやがった」 「ぶっ殺す」 男女さまざまな声があったが、一番多かったセリフが 「ぶっ殺す」 だった。
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