3人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
廊下の、一番奥の奥。
その教室のドアが、バーン、と音を立てて弾けとんだ。
「田中ーっ、またドア飛んじまった!」
大声で、六年生とは思えない体つきの男の子が、ドアを拾ってはめながら言った。
「松本っ!ドアは足じゃなくて、手で開けなさい」
はーい、と生返事をした松本くんが、隣の私に視線を注いだ。
肺いっぱいに空気を吸い込むと、
「みんなぁーっ!転校生が、来たぞおおお!」
と、学校中に響き渡るような大声で、叫んだ。
途端、奥の教室からは、20人くらいの人が飛び出してきた。
「バカっ、教室入りなさいっ!あーコラ、学校で菓子食うなっ」
ポッキーを片手にもった男の子が、私に近寄って手を差し出した。
「俺、アユムってんだ。よろしく!」
恐る恐る、手を差し出すと、ぎゅっと握ってくる。
「原田、薫です…」
瞬間、はあっと周りからため息が聞こえた。
何か、まずいことしたのかな…
「純情そう…」
「峰岸、握手第一号とりやがった」
「ぶっ殺す」
男女さまざまな声があったが、一番多かったセリフが
「ぶっ殺す」
だった。
最初のコメントを投稿しよう!