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峰岸くんの隣に座ると、ふんわりと甘いにおいがした。
つん、と膝をつつかれて、びくっとすると手の中に飴を握らされた。
「み、峰岸くん…今は、」
「アユムでいいよ。てか、原田のいた学校って真面目なんだねぇ」
ニカッと笑うアユムくん。
真面目…?
うーん、と考えてみたが、担任があんなだったのでうちのクラスは学級崩壊を起こしていたから、よくわからなかった。
「学校で、飴とか食わなかった?」
うん、と頷くと、やっぱり真面目だよ、と言って笑った。
一時間目が音楽だったので、先生は早めにHRを切り上げた。
私はトイレに行ってから行こう、と席をたった。
トイレの中では、他のクラスの女の子からもガンガン質問され、気づくと本鈴が鳴ってしまった。
慌てて教室に行くと既に誰もいなくて、私はかなり焦っていた。
どうしよう…場所、わからないっ
不安から、じわり、と涙が出てきた。
心臓は、怒られるかも、というのと、場所がわからない、という不安からどんどん早くなっていく。
「はあっ、はあっ、う、ぐ…っ」
過呼吸。
その発作が、私を襲った。
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