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貴方は微笑んだ。 何に対してってわけでもなく… ただ貴方は微笑んだ。 僕は恥ずかしくて目を逸らした。 貴方は不思議そうに覗き込む。 向かい合って飲むコーヒー。 そこに差し込む朝日は、貴方の笑みを暖める。 僕が砂糖を足そうとしたら… 貴方は悪戯っぽくにやけて、柔らかい手で止めに入る。 その手を捕まえて、甲へ指をなぞらせると、貴方はケタケタ笑う。 そんな朝はいつもより明るい。 貴方と指を絡めて、額を合わせれば、同じ暖かさがあって。 僕らがここにいる意味がよくわかる。 柔らかな風に誘われるように、僕らは巡り会ったんだ。
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