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「ということがあってさ」
頭をたれて机に水溜まりを作っている少年こと田中勝は、頭上で腕を組んでふんぞり返っている佐々木良子に鼻で笑われた。
「君は何とも無駄に日々を過ごしてるんだね」
やれやれ、とでも言うかのような表情でため息をはく良子。
「私は有意義たる時間を過ごしていたというのに、君は本当にかわいそうだ」
「じゃあ良子は何をしてたんだよ」
少しむくれてしまうのは仕方がないことだと思う。
「何を言っているんだ。決まっているだろう‼カメハメハ修得だ‼‼‼」……かわいそうな子がいる。
「………具体的にはなにを?」
「朝には、鉛製の亀の甲羅を背負ってジョギング20キロ。森に入ってリアルベアーと格闘。昼食後公園でただただカメハメハを打つ‼」
女子高生として間違った道を歩んでるね。
「カメハメハは現実にはうてないよ」
「それは言うな‼私も無理かな……とか思って内心焦ってるんだから」
よかった……きちんとした常識が芽生え始めてるんだね。
「でも、気弾までは撃てるようになったんだからいけるはずなんだよ‼」戦闘民族の本能が芽生え始めてるんだね。
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