最終夜:午前。

2/9
24人が本棚に入れています
本棚に追加
/56ページ
「斉藤は、忌引きで公欠だ。 ご両親を二人共亡くしたらしいから、登校した際はくれぐれも注意すること。いいな?」 担任から都倉の両親の訃報を聞いたとき、あまりにも突然すぎて、 夢かと思った。 「なぁ…、隆司。 俺をつねってくれないか?」 「は?…あぁー。」 行きなり変な事を言ったからか、 隣に座る隆司は、口をポカンと開けていた。 ややあって理解したのか、彼は容赦無く俺の頬をつねる。 「いっ、てぇー!!」 (ガタンッ) 予想以上に痛かったから、 椅子を倒すほど勢いよく立ち上がってしまった。 先生もクラスメイトも、唖然とした表情で見つめている。 「…すんません…。」 肩をすぼめて、席に付く。 隆司を恨めしく睨むと、 自己責任だろ? と言いたげに肩を上げ、そっぽを向かれてしまった。
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!