なし

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もぐらには、一匹の蟻の友達がいました。元気な働き者の蟻で、1日に何度となく地面の上と下を行ったり来たりしては、人間の子供が食べ散らかしたお菓子のくずだの、せみの死骸だのを自分の巣に運んでいるのです。 もぐらは目が見えませんでした。地面の外へ出ることもできません。 そのことを悲しがってほんのたまにではありましたが、蟻にぐちを言うことがありました。 そうすると元気な蟻は、 「そう悲しがるもんじゃないよ。僕は小さくて、そんなに遠くへは行けないけれど、一生懸命、外の景色を見て来て、もぐら君に話してあげるから・。」と小さな手足を精一杯に伸ばして、自分の何倍もある、もぐらの背中をさすってやるのでした。
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