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「ガンダム、貴様なぜ私が見える?」
「え、な…、べつに…、なぜと言われても」私はそう言いながら後ずさる。
背筋に感じるこの悪寒。この幽霊、きっと長い時間をかけて力を身につけているに違いない。
「貴様ただ者ではないな」
「いや…。普通の人です…。というより、あなたは」
「貴様、私を救えるか?」
途中話のかみ合わないことを言い始めるこの幽霊に嫌気を感じながら、「死んだ人間を助けることはちょっと」と応える。
どうしよう、もし差し支えのあることを言ってしまったら、私は殺されるだろうか。
「生きている人なら救えるか」
なんなんだろう、こいつ。そんなことに付き合ってらんないっての。
「そ…それはちょっと分からないと言うか…私にそんな力があるかどうか」
「とにかく来い」
「ど、どこへ!?」
幽霊は私の腕を掴んだまま、何かを唱え始める。
「ちょ、やめて!呪いはやめて!!」
「何、殺しはしない」
そう言い合っている間、視界が歪んだ。いや、例えていうなら空間が歪んでいる。
「なら何するつもり!?」
「私を助けてもらう」
「ちょっと!!人の話聞いてる!?出来ないって言ってるでしょ!?」
「生きてるのなら出来るのだろう?」
歪む視界は広がっていき、やがては空間すべて真っ白になる。後ろを振り返ると、空間に切れ目があり、そこからは樹海が垣間見れた。
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