5/7
前へ
/264ページ
次へ
私には雰囲気だけでここまで通う自信はない。 「でもいいなぁ~。補習って言っても先生は加藤ちゃんじゃな~い」 「加藤ちゃん」とは、一年国語担当の先生で、若いから皆に親しみを持たれてる。 更に爽やかでカッコいいから先生が教室に入ると女子が黒板に群がる。 「麻里は加藤ちゃん好きだもんな。麻里も補習受けたらどうだ?」 「補習は嫌だ!」 「なんなんだよ。加藤ちゃんならいいんだろ~?」 「補習は嫌なの~!」 私たちのグループで加藤ちゃんが大好きなのは麻里だけ。 私たちは黒板に群がる程ではない。 「今文法だけど、物語になったら麻里も補習だね」 「……なんか複雑」 「あはは~」 本当に複雑そうな顔をしていたので皆で笑ってしまった。 ――キーンコーンカーンコーン 「じゃあまたあとでね」 クラス中がその言葉に囲まれた。 「ホラー、朝読書だぞー」 担任の先生も教室に加わり、言葉に溢れてた教室はしんと静まり返った。  
/264ページ

最初のコメントを投稿しよう!

247人が本棚に入れています
本棚に追加