第2章 コンクール、絶望的…。

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次の日の放課後、担任の鬼瓦に呼び出された。 「平木、部活についてなんだが…」 鬼瓦が部活の話しをはじめた。 ホームルームが終わり、職員室に呼び出された時から、すでにそんな気はしていた。 「今、部員は何人だ?」 「3人です」 「…3人か。3人で練習はできるのか?」 「えぇ、まぁ」 「…そうか。でもな、今顧問の山城先生があれだろ…」 名前の割には弱々しい喋り方だな、相変わらず。 「入院してるんですよね」 「…そうなんだよ。だから大丈夫かなって…」 何を言いたいのかよく分からないな、この人は。 * * * 山城先生は吹奏楽部の顧問をしている。 もう60歳をとっくに過ぎているのに、何故か高校に居座り続けている謎めいた人だ。 だけど今は病気で入院をしていて、ここ半年近く顔を見ていない。 そもそも部員が激減したのも、この先生が入院したからなのだ。 * * * 「山城先生がいなくてもちゃんと練習してますよ」 嘘をついた。 鬼瓦がまだ話しの本題を切り出していない気がしたからだ。 その前にこの話しを打ち切りたかった。 「じゃあ僕はもう練習に行くんで」 「いや、平木ちょっと待ってくれ」 …やっぱり。
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