2011年7月5日

4/7
前へ
/38ページ
次へ
そのあと僕は上司に準備もあるだろうから、と帰ることが許可された。 周りの同僚からは羨望と嫉妬の目が向けられている。 それはそうだろう。 今回のプロジェクトが成功すれば出世コースは間違いないのだから。 僕は一言失礼します。とだけ残し会社を出た。 車に乗り込み、いつも持っている君と二人で撮った写真を取り出す。 写真の中で微笑んでいる君の姿を見て、僕は想いを巡らせる。 二人で色んなところに遊びに行った。 時には喧嘩もした。 想い出は数えきれない。 そんな君と離れるなんて 僕の身体のどこか一つがポッカリと穴が空いたような気がした。 そして僕は決心した。 今まで言えなかった、一つの想い。 それを今言わずしていつ言うのだろう? 僕は写真を大切にポケットにしまうと、車のエンジンをかけて目的の場所へと飛ばした。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加