2011年7月5日

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『ただいま。』 そう言って僕は夕日に照らされた君の部屋を訪れた。 君からの返事はない。 僕はいつもの席に腰かけると、君の髪を撫でる。 『今日ね、会社で上司に呼び出されてさ。 …僕ボストンに転勤になったんだ。』 口が渇いているのがわかる。 いざ言葉にすると、それがどれだけ恐ろしいことか実感したような気がした。 君からの返事はない。 『いつこっちに帰ってこれるかわからないんだけどね…』 そう言って僕は窓の外の夕日を眺める。 こんなことを言う僕を君はどう想うのだろうか? ずっと一緒にいると約束したのに、それを破るなんて最低と、愛想を尽かしただろうか? いや違うだろう。 ずっと君と一緒にいた。 だから君がなにを考えてるかなんてすぐわかっちゃうんだ。 君ならこう言うだろう。 “いってらっしゃい。気をつけてね。” と。
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