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初夏の日差しが差し込むように僕はカーテンを開いた。
3階の窓からは青々とした新緑の木々の葉が風に揺れている。
外からは小学生だろうか?通学中の子供の声が窓越しにも聞こえてきた。
『おはよう。今日も良い天気だよ。』
僕はベッドに横になっている君に声をかけた。
君からの返事はない。
ベッドのわきに備え付けられた椅子に腰掛け、僕は君の髪を優しく撫でた。
『最近暑くなってきたね。まぁ梅雨みたいにジメジメしてないだけ良いか。』
僕はフッと君に笑いかける。
君からの返事はない。
『今日も仕事なんだ。ごめんね長く一緒にいられなくて。仕事終わったらまたすぐに会いに行くからさ。』
そう言って僕は壁にかけられた時計に目を向ける。
もうそろそろ出なくては仕事に間に合わない。
名残惜しいが出発しなくては。
『じゃぁそろそろ行くね。面会時間中には会いに行けるように帰ってくるから。』
僕は立ち上がり、スーツとネクタイを軽く整えながら君に話しかける。
君からの返事はない。
『じゃぁいってきます。』
君からの返事はない。
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