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『…ここは?』
次に気が付いたとき、僕は全く見知らぬ場所にいた。
辺りには波が静かな音を立てている。
「…久しぶり。」
懐かしい声が後ろから聞こえた。
僕はゆっくり振り返り、その姿を見て微笑む。
『久しぶり。』
僕の目の前には海を背景に君が笑いながら立っていた。
お互いに沈黙が流れる。
でも気まずくはない。
だって君が笑っているから。
僕は君の手を引き抱き寄せた。
何の抵抗もなく、君は僕の腕の中に収まり背中に手を回す。
『待ってたよ。今までずっと。』
君からの返事はない。
けどいつもとは違う。
君はここに存在している。
君の嗚咽を聞きながら、抱きしめた腕に力を込める。
それに合わせたように君も力を強めた。
お互いに自然と顔を向け合う。
君はあの時から変わらず微笑んでいた。
そっか。
今日は七夕か。
だから願い事が叶ったのかな?
365日に1度の奇跡が起きたのかな?
『…君を愛してる。』
「…私もあなたのことを愛してるよ。」
僕たちはそれだけ言って口唇を重ねた。
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