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会社に着き、自分のデスクに座ると今日の分の資料に目を通す。
これなら何とか面会時間が終わる前には君の元に行けるな。
僕は仕事の算段をつけて取り掛かった。
もしかしたら僕は器用なのかもしれない。
手や目は仕事をするためにパソコンに向けてるが、頭の中では君のことを考えている。
君が眠りについてから毎日ずっとこうだ。
毎日君に会いに行くために仕事を素早く終わらせようと努力する。
そのせいか業績が上がったのは皮肉だな。
僕は自嘲的に笑うと、一つ目の仕事を終わらせた。
そういえばあの日、君を轢いた奴の審判が今日下ったよ。
飲酒運転だったらしい。
これで君も少しは憂さが晴れるかな?
それでも。
それでも君は目を覚まさない。
有罪だろうが何だろうが、君は目を覚ましてはくれない。
毎日僕が君に会いに行って話しかけても、僕の好きだった君の長い綺麗な髪を撫でても。
君は目を覚ましてはくれない。
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