2011年7月4日

4/8
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
会社に着き、自分のデスクに座ると今日の分の資料に目を通す。 これなら何とか面会時間が終わる前には君の元に行けるな。 僕は仕事の算段をつけて取り掛かった。 もしかしたら僕は器用なのかもしれない。 手や目は仕事をするためにパソコンに向けてるが、頭の中では君のことを考えている。 君が眠りについてから毎日ずっとこうだ。 毎日君に会いに行くために仕事を素早く終わらせようと努力する。 そのせいか業績が上がったのは皮肉だな。 僕は自嘲的に笑うと、一つ目の仕事を終わらせた。 そういえばあの日、君を轢いた奴の審判が今日下ったよ。 飲酒運転だったらしい。 これで君も少しは憂さが晴れるかな? それでも。 それでも君は目を覚まさない。 有罪だろうが何だろうが、君は目を覚ましてはくれない。 毎日僕が君に会いに行って話しかけても、僕の好きだった君の長い綺麗な髪を撫でても。 君は目を覚ましてはくれない。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!