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『ただいま。今日も仕事疲れたよ。』
朝とは違い、夕日に照らされた君を見ながら僕は腰掛ける。
君からの返事はない。
『そういえば………朝、看護士さんからこれをもらったんだ。
何を書こうかまだ決まってないんだけどね。』
僕は鞄から二枚の短冊を取り出し、君に見せる。
『せっかく水色とピンクがあるから、僕は水色に書くね。君はピンクに書いて?』
そう言ってサイドテーブルにピンクの短冊を置くと僕はペンを手に取り、何を書こうか考えはじめた。
『改めて願い事を書くってなると何を書くか迷うね。
そういえば前に一緒に海に行きたいなんて話もしたよね。』
君からの返事はない。
すると扉をトントンとノックする音が聞こえた。
『どうぞ。』
僕が声をかけると扉は開き、外から君の主治医の先生が入ってきた。
「すみません。彼女のことでお話があるので、着いてきていただいても構いませんか?」
僕は何だろうと思いながら頷くと先生の後に着いて部屋を出た。
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