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と、思ってたのにな。それは一方通行だったらしい。
「凪、私とは本の話しかしないよね」
ちょっとした喧嘩からそう言われて。
「他の子とは楽しそうに雑談してるのに、私には本!本!本!……なんで?私に興味なくなったならそう言ってよ!」
激しく責め立てる声は、今まで知らなかった彼女で。
俺は呆然としながら、ごめん、と一言。
だってさ、他に何て言えば良いんだよ?心を許してるから俺は本音を話してて、本読むのもマジな趣味で、格好悪いかもしれないし地味だけど、好きな気持ちを話してたんだ。
それが彼女には伝わってなかった。
自分勝手に本のことを話しまくる男だった。
何でわからないんだよ。
そんな怒りよりは哀しみが湧き上がった。
哀しみよりも、自分への嘲りと憐れみが勝っていた。
簡単に信じすぎだっつの。
人間(ひと)を信じて裏切りを知ったから、人気者の位置を陣取ってたのに。
それでも……人間(ひと)を信じたかったんだよな。
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