0人が本棚に入れています
本棚に追加
躊躇しまくっていた俺をそれ以上促すことはせず、彼女はぽつりと言った。
「私はね、小説が好きなんだ。ジャンルは何でも。ファンタジーが割りと好きかな」
それからは凄まじい、そう、凄まじいとしか言い様がないくらいだった。
俺が元彼女に話していたような、それよりも深い話。
キラキラした顔は眩しくて、それだけですっと引き込まれてしまう。
一息ついた彼女は、どう?といった感じに笑った。で、空を仰ぐ。
気の遣い方もすげぇ。
俺はそうと気付かずに涙を流していたんだ。
それから俺は素で話した。彼女には伝わるから。俺もちょっとは成長したし。
彼女の顔は相変わらず可愛いし、笑顔は眩しい。
けれど、天を仰ぐ瞳に、俺は何倍も惹き付けられる。その強さに。
「それじゃ、また」
「うん、また」
別れの時が来るのは早すぎて、名残惜しさで一杯だった。
それでも「また」があるなら、いい気がする俺は単純すぎる。
最初のコメントを投稿しよう!