運命と言わずなんと言う

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躊躇しまくっていた俺をそれ以上促すことはせず、彼女はぽつりと言った。 「私はね、小説が好きなんだ。ジャンルは何でも。ファンタジーが割りと好きかな」 それからは凄まじい、そう、凄まじいとしか言い様がないくらいだった。 俺が元彼女に話していたような、それよりも深い話。 キラキラした顔は眩しくて、それだけですっと引き込まれてしまう。 一息ついた彼女は、どう?といった感じに笑った。で、空を仰ぐ。 気の遣い方もすげぇ。 俺はそうと気付かずに涙を流していたんだ。 それから俺は素で話した。彼女には伝わるから。俺もちょっとは成長したし。 彼女の顔は相変わらず可愛いし、笑顔は眩しい。 けれど、天を仰ぐ瞳に、俺は何倍も惹き付けられる。その強さに。 「それじゃ、また」 「うん、また」 別れの時が来るのは早すぎて、名残惜しさで一杯だった。 それでも「また」があるなら、いい気がする俺は単純すぎる。
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