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ヤガミとはそこで偶然出会ったのだ。
初めはゲーム中で一緒にレベル上げたり、話したりしていたが、そのうちヤガミが、
「メアド交換しねー?」
と言ってきた。
俺は一瞬躊躇した。今までオンラインで密に会話しているとはいえ、メールは一歩踏み込まれる感じがしたから。
しかし、学校以外の、しかも同年代の友達ができるのは嬉しかったのも事実だ。
結局は押しきられる形でアドレスを交換し、携帯番号まで知る仲にさえなったけれど。
多少うるさいとこはあるが、ご愛敬。仲良くしてきたはずだった。
しかし。
今まで俺は、友達らしいことをしてきたのだろうか?
そもそも。
俺は。
こいつの友達なのか?
呆然として黙ってしまった俺の後ろに、ヤガミは言葉を繋げてきた。
「んー、俺が手当たり次第だからだよな、やっぱ」
耳を疑った。
「え?」
「すまん、いっつも自分の話ガーッてさ。何回運命感じてんだってハナシ。もっとじっくり考えなきゃだめだよな」
「いや……」
「ありがとな、なんか俺、お前に助けられてばっかだわ!」
携帯電話越しに泣きそうになってしまった。
馬鹿だな、俺もお前も。
「俺、やっぱお前好きかも」
照れ臭さを隠しながらさらっとそう言う。冗談のようで、本気の言葉を。
「はぁ?なに言ってんだそんな趣味ねーよ!」
わざと焦ったような言い方に笑いつつ、ありがとう、と心の中で呟いた。
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