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チャイムを押すと待ってました、とばかりに勇が出てきた。
三ヶ月くらいぶりで、少し男らしくなった気がする。
「おかえり!」
くしゃと笑う顔は身内の贔屓目を除いても愛嬌がある。性格的にも可愛がられる典型的な末っ子タイプ。
俺が兄貴らしいかは置いといて。
「ただいま。うわ、久々だ」
家に上がり、キョロキョロと中を見回す。
「三ヶ月も帰ってないんだから当たり前だろ」
勇がそう言えば、
「俺も色々あんの」
と返す俺。
実際思いがけない出会いしたわけだし。
「ふーん?確かになんか兄ちゃん少し雰囲気変わったかも」
「そうか?お前もちょぴっとだけ大人っぽくなったんじゃね」
「え、まじ!?」
あからさまに喜ぶ弟を不審に思いながらも、リビングに向かう俺。
「あ、兄ちゃん!二人にただいましたら、ちょっと俺の部屋で相談したいことある!」
慌ててそう言う勇。
なるほど、相談……ね。積もる話どうたらと言いながら、ちゃっかりちゃんとした目的があるんだな。
「なんだよ、母さんとかに聞かれてまずいの」
俺は内心聞いてやるか、という気になりながらも意地の悪い投げ掛けをする。
「無理無理無理!兄ちゃんにしか相談できないんだってば!」
全力で頭を振り回す様子を見て、やっぱガキだな、と微笑んだ。
「了解、とりあえず小腹すいたから何かつまんでく」
コツン、と勇の頭を叩くとリビングに入った。
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