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「つじあきお」 それが俺の名前。 平凡な両親から生まれ、平凡に育ち、平凡な高校に通う平凡な高校生、辻章夫である。 成績は良くも悪くもなく、学力について悩んだことは一度もない。 スポーツもそこそこ出来るし、誰かにイジメられるということもない。 実に安全で健全な高校生ライフを過ごしている。 そう、なんの悩みも不安もない。 だけど……俺はこんな毎日を楽しく思えなかった。 それはなぜか?理由は簡単だ。 この高校生生活において勉強よりも、スポーツよりも大切なモノを俺は手にしていなかったからだ。 友達。 俺には友達が1人もいなかった。 別に俺のコミュニケーション能力が不足してるとか人間性が嫌われているからではない。 この世界には必ずそういう人間がいるのだ。 別に誰からも恨まれも憎まれもしないのに、人間関係を築けない人間が。 必要最低限の会話のみでこの世に存在しなければならない人間が。 それが俺だ。 ただそこにいればいいだけの人間。 全然楽しくない。 友達が欲しい。 しかしそんな俺の心を嘲笑うかのように、1日、1日と時は流れていった。 俺は孤独だった
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