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この日俺はイライラしていた。
俺は不良と呼ばれる奴らが嫌いだ。変な髪型に、乱した服装。なにがしたいのだろうか?
まぁ、そんな訳分からん奴らでも、仲間を助けるために1人で大勢の敵に立ち向かっていく不良や、弱い者には決して拳を振るうことは無い、男気溢れる不良ならまだ良しとしよう。
だが、トイレにあるトイレットペーパーをライターで燃やしてボヤ騒ぎを起こすという理解できない事をしでかす不良は嫌いだ。
このバカ共のやらかしたボヤ騒ぎによって、放課後に学年集会が開催され、下校時間が1時間も延ばされてしまった。
帰宅部エースである俺は、学校が終わったあとの下校に最高の生きがいを感じる高校生だというのに…。
さらに夏のジメジメしたなんとも言えない気持ち悪さまで加わって、今日の帰り道はその生きがいを感じる事が出来なかった。
もちろん一緒に帰ってくれる友達もいないので孤独だ。
20分くらいかけて俺は自宅に到着した。
時刻は6時。夏なので、まだまだ太陽は働いている。
暑いので早く沈んでほしい。
「ただいまぁ…」
返事はない。
というかあるはずがない。
両親は共働きだし、妹は軽く不良じみていて帰りはいつも遅い。
俺はうがい手洗いをして、シャワーを浴びて、清潔なTシャツとパンツに着替え、自分の部屋のベッドにダイブした。
今日も生き延びた。
孤独なあの教室を生き延びた。
「今日も教室を生き延びた」
今日と教室の教ってダジャレになってね?
とかいう自分でも気持ち悪い程つまらんシャレを考えながら、俺は深い眠りに落ちていった。
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