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ふと目が覚めた。
俺は重たい体を起こして時計を見る。
時刻はすでに午後9時をまわっていた。
すっかり夜だ。
頭が痛い。ガンガンする。
やはり昼寝(夕方あたりに寝たので昼寝と言っていいか分からないが)はするものじゃないな。
起きた後が辛い。ボー…っとする。
部屋のドアを開けて、リビングに向かう。
両親は帰ってきていない。
テーブルに置いてあったハンバーグを、レンジにぶち込む。母親が作ってくれた物だ。
ハンバーグが温まるのを椅子に座りながら待つ。
俺は静かなリビングでふと思った。
俺はずっとこのままでいいのだろうか。
いや、もちろん高校を卒業したら1人暮らしして自立するつもりだ。
大学は行きたくない。勉強嫌いだしね。
俺が「このままでいいのだろうか」と思っているのは現状についてだ。
友達いない。孤独。
窓の外の監視役。
こんな腐りきった高校生でいいのだろうか。
もっと青春をエンジョイしたい。
仲間とバカやりたい。
彼女だってほしいさ。
リア充でも非リア充でもどっちでもいい。
仲間がほしい。
「なんで俺は…」
その時、玄関のドアが開く音が聞こえた。
ドタドタとうるさい音を響かせながら、それはリビングに突っ込んでくる。
「はぁ~!!疲れた!カラオケ超盛り上がったし!!」
高そうなブランド品の服やバックで武装した辻家の問題児、辻京子がそこにはいた。
「…お前何時だと思ってんだよ。まぁどうでもいいけどさ」
「あれ?なんか兄ちゃんテンション低くない?どしたの?」
京子は台所で水をグビグビ飲み始める。
「寝起きだからだ。それに俺はいつもテンション低くいだろ」
「いや今日はなんか特に低いよ」
「そっか。なら教えてやるよ。今日の放課後、お前みたいな不良共がトイレでやらかして帰りが遅くなった」
「トイレでやらかすって…エッチでもしてたの?」
「ちげぇよアホ。ボヤ騒ぎだボヤ騒ぎ。放火したんだよ」
「そんなことする奴まだいるんだ。不良は困るねぇ」
「てめぇもだろうが」
「なんで!!私は健全な女子中学生だよ!パンツだって白!!乙女なんよ!」
「夜9時までカラオケにいる女子中学生を不良と呼ばずになんと呼ぶんだよ!あとパンツの色は関係ねぇ!!」
なんて妹だ。自分の蛮行をまるで自覚していない。
父親そっくりだ。
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