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チンっという音とともにレンジが止まった。
俺はハンバーグを取り出してラップを外す。
「あ……いいなぁ兄ちゃん」
「なんだお前。外で食ってきてないのか?」
京子が俺のハンバーグを恨めしそうに見つめる。
てっきり俺は外食してると思ってた。
「ちょっと財布のバランス間違っちゃって……」
「めんどくさい奴。お前の分のハンバーグは……ないか。母さんなにやってんだ?」
俺の分のハンバーグを作ってくれたなら京子の分も作ってくれているはずだ。
作り忘れたか?
いや、あの真面目で誠実な母親がそんなミスするはずがない。
「いやぁ~……実はですね……」
京子が申し訳なさそうに話し始める。コイツがこうやって話すときは必ずめんどくさいことになる。
「お昼くらいに学校サボってですねぇ~……友達とカラオケ行くってことになって~給食食べてなかったから、夕食のハンバーグ食べちゃったんだ」
…なんて野郎だ。
「なるほど。なら今日はなにも食わずに寝ろ」
「やだやだ!!お腹すいた!!」
「まじでぶっ飛ばすぞてめぇ!!お前は昼に夕食分の飯食って夜にまた夕食食おうだなんて非常識が通用するなんて思ってんのか!?」
「私に常識は通用しないよ!!」「どこの第2位様だよ!?」
「くっそ~!兄ちゃんが起きる前に帰ってくればよかった!!」
「なんてことを言うんだこの妹は!?俺の分のハンバーグも食うつもりだったのか!?」
「兄ちゃんなんて餓死しろ!!」
たぶん妹に餓死しろなんて言われた兄は、日本全国探しても俺が初めてだろう。
全世界かも。
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