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「……ひかるちゃん」
「ごめんね愛流ちゃん。勝手に決めちゃって」
さっきのとこから、逃げるように愛流ちゃんを引っ張ってきて、いつもの帰り道に戻っていたボク達
頃合いを見て、口を開いた愛流ちゃんに被せるように、両手を合わせて謝る。けど、隣を歩く愛流ちゃんはまだ機嫌悪いみたい
ボクの一言で司祭さん達、完璧に固まってたもんなぁ……
お礼も無いまま、愛流ちゃんも強引に引っ張ってきちゃったし
「それはいいの!」
あ、いいんだ
「いくら何でも、あの言い方は失礼だったと思うよ」
「…う~ん、まぁねぇ」
おねーさんの好意を完全に無視して、あんな言い方したらねぇ。理由も一応あるんだけど
「だってさぁ、司祭さん愛流ちゃんの手をぎゅってさー。セクハラだよ、アレ」
「も、もうひかるちゃんは考え過ぎだよっ」
自覚したら少し恥ずかしかったのか、ほんのり頬を赤くする愛流ちゃん。うん。可愛い
「でも、だからこそ心配だよ。あんまりにも無防備なんだから」
「そうかな?」
「ヒトを無条件で信じるのは、愛流ちゃんの美点だと思うけどねぇ」
同時に危ういんだけどね。特に、“練習したような、完璧でキレイ過ぎる笑顔で近付いてくる”ようなヒトとかは要注意ですし、おすし
「守ってくれてありがとう。でもひかるちゃん。やっぱり反省もしなさい」
「……はーい」
「うん。わかったならよろしい」
そう言う嬉しそうな彼女は、少し脳天気で完璧では無いけど、魅力的な笑みだった
この先、人助けも、疑う事をしないのも彼女は続けるだろうけど、ボクもあんまり強くは言わない。
愛流ちゃんには、是非このまま変わらずに、きれいな子でいてほしいからね
その分ボクが、愛流ちゃんを守ればいいだけだもんね
よし、と決意してボクらは、ゆっくりと帰り道を進んだった
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