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警告いち!障らぬ神からトラブル来る?
「『能力』はそのヒトが持っている、とても素敵な特技ですわ!」
いつだったか、我らが敬愛する先輩はそんな素敵な解答をしてきた
空を飛んだり
火の玉を生み出したり
触らずに物を動かしたり
物事の起きてる、起きそうになってる、トラブルを事前に感知したり――
そんな、オカルトじみた奇跡みたいな『能力』を、只の特技と言って見せるのは
その力に頼らず努力で何でもこなしてきた、なんとも存在がチートの先輩らしい発言かもしれない
「――何だかなぁ」
思わずそんな言葉が漏れ出たのは、ボク
【四月一日(ワタヌキ) ひかる】
の口からだった。
ボクは『能力者』と『一般人』共学の《国立 七咲学園》に通ってる、花も恥じらうピチピチの16才、高校二年生~
150㎝に満たない小さい背も、童顔で中性的と言われる顔も割と気にいってるけど、みんなどっちつかずのボクの性別が気になって仕方ないらしい
クラスでは賭け事にもなってるとか……
それは置いといて、やっぱ何だかなぁ…… 先輩の発言と“今の状況”、どっちに対して言ったかは、ボク自身にも分かってないけど
《――いいですか!つまり、皆さんが『能力』と仰ってる力は神の奇跡!神のご加護なのです!》
駅前の夕方。ボク達の前には、今時珍しいハンドスピーカー片手に演説する一人の同い年位の少女の姿があった
《共に、神に感謝し崇めましょう。そして人の為に使う。それが奇跡の力を頂いた私達『使徒』の、せめてもの償いなのです!》
そして祈りをする彼女。その彼女からは、“トラブルのオーラ”とでも言うようなものが放たれてて
ボクの『能力』〝難事警告(トラブルアラート)〟が否応無しに反応する
この〝難事警告(トラブルアラート)〟は自動制御(オート)で、ボクが陥りそうな“トラブル”を事前に警告してくれる。逃げる為だけにあるような、ちゃっちぃ『能力』だよね
普段なら、ボクはトラブルが起こりそうな相手には、遠回りしてでも近づかない。今日も一人ならそうしてた
「神様の奇跡かぁ……ひかるちゃんどう思うっ!?」
黒髪ポニー。元気印の笑顔が可愛い女の子。同じ学園に通うボクの幼なじみ
【神無月 愛流(カンナヅキ アイル)】ちゃん
が居たからである。
愛流ちゃんは優しい良い娘なんだけど、“だめもと!”の精神で色んな事に関わろうとするから、ボクとしては気が気じゃないよ
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