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「神様かぁ。ま、一概に否定も出来ないよね。『能力』が何か、なんて完璧に立証されてないんだし」
そう、『能力者』の頭の中にある“核”と呼ばれる器官が影響してるって事は解ってるらしいけど
『能力』の統一性の無さ、発症条件、どうしてこんな事が出来るか。など疑問は未だに解決されていない
「うん。みんなの力って、何でも出来るもんね」
あながち間違って無いのかも。なんて少し寂しげに笑う愛流ちゃん
その“みんな”には愛流ちゃん自身は入ってないニュアンスだった
愛流ちゃんは『能力者』だけど、ランクE――無能力者と呼ばれちゃってる存在なんだよね
“核”があるのに、使える筈の『能力』が確認できない。検知されないから
でも、ボクは知ってる。彼女は本当はとんでもない力を持ってるって事を……それを教えてあげる訳にはいかないけど
「愛流ちゃん。そろそろ移動しようよ、ね?そうしよっ」
この手のトラブルは他のトラブルを呼び寄せるからなぁ。巻き込まれる前に、否。愛流ちゃんが“巻き込まれに行く前に”……
「はっ!バカバカしい!」
ほら来たぁ!
野次馬の中から姿を表したのは、ガラの悪そうな3人組
《むむ、神を冒涜するのは、一体どなたですか!》
「『能力』ってのはヒトの脳の働きで生まれる、科学的な現象だってのは常識っしょwww」
「そーそー、じょーしきじょーしき」
「カミサマとかwwwwww。そんな事言って最終的に、壺とか売っちゃうとかスかwwwwwwww」
うわぁ……。ガラだけじゃなくて、頭も悪そう
《何たる暴言!貴方達自分が何を言ってるか、理解してるのですか!許しませんよ!》
信者として彼らの暴言は聞き捨てならないらしい。ハンドスピーカー片手にプリプリ怒ってる。あ、やばい
ドカン!
その彼女の足元に、大きな音を立てて、拳くらいの岩石が突き刺さる
「許さなきゃ何?」
『んな!……な……』
いきなりの事態に驚いた彼女は、口をパクパクさせて硬直している
「なーにが“神様の奇跡”だ。『能力』なんてのはこうやって強さを見せ付けるモンだろwww」
彼は周囲の地面などから砂や石を集めて塊を造る。そして彼女の周囲へと打ち出した
ズカッ!ガドン!
『きゃあああ!』
野次馬の方々は『能力者』同士のバトルの予感に早々と退散していた
ボク達も逃げない?ね、愛流ちゃん
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