17人が本棚に入れています
本棚に追加
「こんな所でマイクまで使ってさー、近所の人達にメーワクっしょー?騒音って奴?そんな常識知らずのお嬢ちゃんには教育が必要だよねー」
「ぱねー!教育とかマジぱねーよ。冒兎くん」
「おらおら!目障りなんだよ宗教家さんよォ」
口汚くゲラゲラ笑いながら『能力』で女の子を脅すチンピラ三人組。
とりあえず、いちゃもん付けて暴れたいだけでしょうに。君ら
周囲を見渡して正義感のある大人に期待するけど、何分『能力者』が相手だし遠巻きに女の子を見てるか、足早に去って行くだけ
ま、しょうがないよね。せめて通報くらいはしていてくれてる事を期待しとこう
「いやー本当、ぱないよねぇ。1人の女の子に寄ってたかって馬鹿じゃない?」
「……ああ?誰だァ?」
今まさに駆け出そうとしていた愛流ちゃんを押しとどめて、前に出る
「アレ?頭だけじゃなくて耳も悪いの?」
「ちょっ。ひかるちゃん」
(し~!聞いて。ボク1人じゃ無理なの、ボクがあの3人組の注意を引くから、その隙にあの子を)
愛流ちゃんにだけ聞こえるくらいの音量で早口に喋る
(でも、ひかるちゃんが危ないよ)
(ボクの逃げ足の速さはよく知ってるじゃない。大丈夫だよ)
チラッとだけ彼女の方を見て微笑みかける
(彼女の事、任せていいかな?)
(ひかるちゃん……うん!任せて!)
ボクの作戦に力強く賛同してくれる愛流ちゃん。ただ下がっててって言っても聞いてくれないだろうし
あー、ボクこういうキャラじゃないだけどなぁ……
「オイ。シカトこいてんじゃねーよ」
「頭悪くて、耳が悪くて、顔もイマイチってなんか残念だよねー」
「テメェ……」
「ぱねー!このクソガキ、マジぱねーっしょ!」
簡単に挑発に乗ってくれた3人組を視界に収めたまま、ボクだけに視線を誘導する為に、少し迂回しながら前に出る
「『能力』まで使ってさー。ストレス発散とかならもっと健全な…」
ドガガッ
ボクの台詞は飛んできた彼の『能力』で止められた。ふーん。なるほど
「ガキ。調子こいてんじゃねーゾ」
「小学生はサッサと帰れっしょ!」
高校生なんだけどなぁ……
最初のコメントを投稿しよう!