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「ハァハァ。ここまで来れば、大丈夫だよね」
「ちょっ、と。一体何なんですか!?いきなり引っ張ってきて!さっきの子は一体……」
先程、ひかる達がいた通りからいくら離れた所まで、愛流と襲われていた少女は走ってきていた
「さっきの子は、ひかるちゃんは、困ってる人を見過ごせないの。もう安心していいですよ」
ひかる本人が聞いたら即否定しそうな事を言いつつ、笑顔を浮かべる愛流
「そんな!じゃあ、あの子は私を庇って身代わりに!?」
「ひかるちゃんなら大丈夫です!」
根拠はまったく無いだろうその台詞を、愛流は疑いもせずぬ言い切った
「あ、でも心配だから私はちょっと戻ります」
「どっちなの!?」
信頼と心配は別問題らしく、自分で言ってて更に落ち着かなくなったようだ
「それじゃあさよならです。気を付けて帰って下さいねっ!あ、それとさっきの演説、色々と考えさせられましたぁ!これからも頑張って下さいねー」
駆け出しながら喋る愛流は、言いたい事だけ言ってさっさと戻って行ってしまった
1人置き去りにされた少女は、呆然と呟いた
「一体、何だっていうんですか
★ ★ ★
そろそろ、かな……
「いい加減、もう、いいでしょうよぉ」
「ふざ、けんな。まだまだ、だ」
一向に諦めてくれない冒斗君は、ホントにしつこくてしつこくて、中々うまく逃げ出す機会が来ない。
いくら軌道が分かるからって、当たりそうなら避けなければいけない訳で
ぶっちゃけ疲れてきた訳で。……もういいよね
「それじゃあさらば!」
疾きこと脱兎の如く。
ボクの〝難事警告(トラブルアラート)〟真骨頂!
「あ!てめー!待ちやがれ!」
そんなに怒鳴っても、待つわけが無いのだ。このまま脇目も振れずに走り出す
「きゃああ!」
あは。この『能力』の唯一の利点。それを使えば逃げる事だけに集中出来るって……きゃあ?
「待たねーと、この女が只じゃすまねーぞ!」
「ちょっと!離してよっ!ばかー!」
「痛っ!いてっ。暴れるなっスよ」
「……その娘がボクにとって、人質になるとは限らないんじゃないかなぁ……だから、早く解放してボクと鬼ごっこの続きを」
「そうよ!ひかるちゃんは関係無いんだから、私に構わず逃げてっ」
「やっぱり知り合いみてぇだな」
愛流ちゃあん!空気読んでぇぇ!
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