あの頃のぼくたちは

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「蒼(アオ)兄が起きてるなんて珍しいね」 「だって寝てないもん」 「もう何日寝てないの?」 「2日ぐらい…」 「そんなに…」 蒼兄は今年の絵画コンクールに出す作品を2日も寝ずに描き続けていた 蒼兄が描く絵は見ていてとても落ち着く絵もあれば 蒼兄独特の絵を描く事もある 「蒼兄、下に功くんいるから一緒に行こう」 「おぅ」 俺は蒼兄と階段を降りていつもの席に座った 「蒼くん、また寝てないの?」 「うん」 「だめだよ寝なきゃ…」 功くんはとても心配性で母親みたいな事を言う 「とりあえず食べましょうよ」 「いただきます」 「「「「いただきまーす」」」」 みんな うまいうまい と言いながら口に運んでいく 「蒼くん、今日バイト休んだら?」 「バイトは休まないよ」 「でも…倒れたら…」 「蒼兄が大丈夫って言ってるんだからいいじゃないですか」 「うん…」 それからは誰も喋らず、お皿とスプーンの当たる音だけが室内に響いた
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