スカウト

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『速報です!!なんと、あの大人気バンドのARISUが新しくボーカルを入れるようです!!詳しい内容は……』 朝のテレビはどこもこの話で持ちきり。 正直、ARISUって 誰? 私は食パンにかじりつきながらテレビを消した。 幼い頃に両親を事故で亡くして、私は親戚の叔父さんの所にいた。 だけど、その親戚の人達は私を疎外していて、凄く居心地が悪かった。 まぁ、何処にでもある話だ。 高校に入るとバイトでお金を稼いだ。 大学生になると私はその家を逃げ出すように飛び出したのだ。 だから私は一人暮らし。 そして、世間の流行りについていけてない。 テレビをつけても何がなんだか。 バイトが忙しいって事が原因の1つ。 まぁいっか。 ARISUなんて知ってても、それが人生にどう変化を及ぼすわけでもないし。 食パンを食べ終えて食器を下げる。 「あ、やば。そろそろ行かなきゃ」 とりあえず食器を流しに置いて鞄を持って玄関に向かう。 鍵を閉めて私は大学に向かった。 「あ!!亜美ーっ!!」 電車に乗る前に名前を呼ばれて振り向くと、フワフワカールの女の子が走ってきた。 「ヒロ」 「おはよう!!」 少し息切れしながら私に笑顔を向けるヒロ。 本名 坂崎 裕美(さかざき ひろみ)。 通称 ヒロ。 私はヒロと一緒に電車に乗った。 「今日のテレビ見た?」 「テレビ?ああ。今日はその話で持ちきりだったよね」 「うわ。相変わらず興味なさそう」 ヒロは苦笑いで私を見た。 「亜美はそんなのに興味ないもんね」 「うん」 「即答!?」 「てゆーか、ARISUって何?」 「そこから!?」 ヒロはガクッとずっこけた。 .
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