ヘクト地方ポール雪原

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「ん……」 目が覚めた。そう思ったオレは体を起こして辺りを見渡す。視界がぼやけてよく見えないが、見覚えのない景色に溜息を吐いた。 どうやら長い夢の続きらしい。 その時だった。 バンっと勢いよくドアが開く。 『キジョウッ!』 「わっ!?びっくりした、何だよベラ」 『一緒に来て!』 「は?」 『良いからはやく!』 切羽つまった彼女の表情から、先ほどまでの冷静さは感じられない。得体の知れないものが背筋を駆け抜けた。 ベッドから飛び出したオレはベラの後に続いた。 寝る前に話込んでいた部屋には灯りがついていない。 その代わりというように、厳重に閉ざされた扉がガッガッと嫌な音を立てていた。 視線を前に戻して、ベラの背に小さく尋ねる。 「ベラ、一体……」 『来たの。研究所の人間が』 「研究所……?」 なんだかここの世界観とは相容れないイメージの単語だ。研究所と孤児院に一体なんの関係があるのか。接点を見いだせないオレは、再びベラに問い掛けようとしたのだが…… ――バキッ
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