ヘクト地方ポール雪原

5/13
前へ
/74ページ
次へ
『あなた、どうしてこんな所に居るの?』 「えー……」 夢の中でこんな質問をされても困ります。というか逆にオレが聞きたいくらいだから。 困ったオレはポリポリと頭を掻いて、どうしたものかと答えを思案していた。 この問いに、なんでかオレは真剣に頭を抱えている。脱厨二したのはもう2年も前のはずだが、脱していなかったらしい。 『……。オルリナの民?』 「オル、リナの民……?」 『違うの?』 聞き慣れない単語に首を傾けて、少女の言葉を反芻する。オルリナなんて国あっただろうか。 『違う、わよね……言葉は通じているみたいだし』 「?」 一体なんのことかさっぱり分からない。言葉が通じるのは夢の中だからに決まっている。 現実味は無いのに、えらく緻密な夢だなと思った。 『ごめんなさい、1人で喋ってしまって。良かったら灯台に案内するわ』 「え、あ。ありがとう」 くるりと踵を返した少女に続いてオレはその小さな背を追った。
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加