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『あなた、どうしてこんな所に居るの?』
「えー……」
夢の中でこんな質問をされても困ります。というか逆にオレが聞きたいくらいだから。
困ったオレはポリポリと頭を掻いて、どうしたものかと答えを思案していた。
この問いに、なんでかオレは真剣に頭を抱えている。脱厨二したのはもう2年も前のはずだが、脱していなかったらしい。
『……。オルリナの民?』
「オル、リナの民……?」
『違うの?』
聞き慣れない単語に首を傾けて、少女の言葉を反芻する。オルリナなんて国あっただろうか。
『違う、わよね……言葉は通じているみたいだし』
「?」
一体なんのことかさっぱり分からない。言葉が通じるのは夢の中だからに決まっている。
現実味は無いのに、えらく緻密な夢だなと思った。
『ごめんなさい、1人で喋ってしまって。良かったら灯台に案内するわ』
「え、あ。ありがとう」
くるりと踵を返した少女に続いてオレはその小さな背を追った。
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