ヘクト地方ポール雪原

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『ただいま帰りました。神父さま』 『おお、お帰りルーシ。そちらはどなたかな……?』 「道に迷ってたところをベラさんに声を掛けられました。木城隆也っていいます」 『そうなんですか。私はエル・ミルダ・オスカーと申します。寒かったでしょう、どうぞお入りなさい』 灯台の中に居たのはやさしそうなお爺さんだった。 神父と呼ばれていたところをみると、ここは協会なのだろう。というかミルダって一緒だ。ベラのお爺さんなのか? なのに神父さまって堅苦しいな。 一礼して中に入ると、ベラが戸を閉めた。頑丈そうな施錠を締めて鎖を取っ手に巻き付ける。 その時はただ、えらく用心しているんだなと思った。 『さあ、二人とも暖かいミルクでも飲みなさい』 『ありがとうございます。神父さま』 「ありがとうございます」 差し出されたミルクを口にしたとたん、緊張の糸が解けたように肩の力が抜けた。ふうと息を吐くと、エル神父が微笑む。
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