12人が本棚に入れています
本棚に追加
『大丈夫ですか?』
「はい。おかげさまで」
『迷子だったのね。家はどの辺りなの?』
「あー……東京の新宿区です」
『トウキョウ? シンジュクク? 聞いたこと無いわね……』
オレだってオルリナなんて聞いたことない。その愚痴をなんとか喉で留めて、違う話題を切り出した。
「ここは、何処なんでしょうか」
『ここはヘクト地方だよ。ポール雪原は有名なんだがね』
「ちょっと、分かんないです……」
素直にそう答えれば、エル神父はおかしそうに笑った。申し訳なさそうな態度がおかしかったらしい。外人のツボってわかんねー。
なんだか恥ずかしくなってミルクを啜れば、隣に座っていたベラが小さく微笑んでいた。
初めて見た笑顔にちょっとだけ胸が高鳴る。
最初のコメントを投稿しよう!