12人が本棚に入れています
本棚に追加
無表情が第一印象的だった。こんな風に笑える奴なんだな。
盗み見していた視線をエル神父に戻して、オレは空になったカップを机に置いた。
お代わりを尋ねられたものの、申し訳なさから首を横に振る。
またその申し訳なさそうな態度がおかしかったのか、エル神父は笑顔をたたえて空になったカップを下げていった。
『キジョウ君、今日はここに泊まっていきなさい』
「え、でもそれは……」
『遠慮することは無い。ここには身寄りのない子供たちが沢山居るからね。今更1人2人増えたところで変わらない』
「身寄りのない子供たちですか……?」
ベラをちらっと見やれば、憂いを帯びた瞳が目に入る。ぎょっとしたものの、こんな時に掛ける言葉が浮かばずエル神父に助け船を出した。
『……私、子供たちと遊んできますね』
『ああ、頼むよルーシ』
ベラが二階に上がっていくのを確認したエル神父は、オレの方に向き直った。
無意識に背筋が伸びる。
なんだか「娘さんを僕に下さい!」といいにきた、どこかの馬の骨のような気分になった。なったことは無いが、こんな感じだろう。
最初のコメントを投稿しよう!