460人が本棚に入れています
本棚に追加
「ぁあ、愁?」
沈黙と化していたエレベーターの中で、戸惑いながら口を開いたのは準だった。
「ん?なに?」
準は俺と同期で入社した。
あの頃は毎日飲み歩く仲だったけど、今じゃ全然…
「最近また忙しそうじゃん…」
「まあね。大きな企画をまた頼まれたからさ」
準の目も顔も見ずに、ただぼんやりと閉まったドアを見ながら言った。
「…そっか。なんかさ、こんなこと言うのもあれだけど…」
準は言いかけて、やめた。
なんかさ、そーゆうのイライラする。
自分から言い掛けといて言わないって何なんだよ。
「言ってよ、ちゃんと」
いつの間にか口調までもイラついていて…
それに気付いたのか、準は焦るように言葉を続けた。
「愁…変わったよね?」
「は?」
変わったって何?
俺は別にどこも…
「昔はあんなに友好的だったのに…今じゃ全然じゃん。自分の地位を確立してから…」
ドンっ…
言うな、
言うな…っ!!!!!!!
気付いたら俺は、準の顔すれすれの壁を拳で殴っていた。
.
最初のコメントを投稿しよう!