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ピッ…
ウィーン…
社長室のドアが開いた。
俺は一応書記でもあるから、指紋認識で簡単に出入りが出来る。
「社長、ご用件は?」
社長の背中に向かって話しかけた。
「今度の企画の件だが…」
社長はゆっくりと立ち上がってタバコをくわえた。
俺は急いで、ポケットに手を突っ込み、握りしめたライターでタバコに火をつける。
「すみません…。まだ案がまとまらなくて」
確か期限は明後日だったはず…
疑問を残したまま謝る。
「いや、いいんだ。実はね、ちょっと気になった画家がいてね。」
社長は火のついたタバコをくわえたまま、フッとニヤケた。
何かを欲情するような目に、俺は思わず後ずさりした。
「…画家ですか?」
「ああ。是非ともその画家とコラボしたくてね。」
コラボ?
画家と?
「…と言いますと?」
「我が社主催の絵画展を開催しようと思ってね。どうだい?」
なぜか社長の目は、より一層欲情で溢れていた
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