「王」

1/16
19人が本棚に入れています
本棚に追加
/77ページ

「王」

………… 教室に沈黙が流れる。 「緊急……事態?」晃大が呟く。 「…… マズい!!! お前ら来るぞ!!! 『神の文字』だ!!」ニノが叫ぶ。 「「「う、うわぁああああ!!!」」」 「騒ぐなぁ!!!」 普段声を荒げない飛鳥が叫ぶ。 騒ぎ声は一瞬で消えた。 「落ち着け。一番怖いのは、混乱なんだ。 混乱してメリットなんか一つも無い。 前に話した通り一組全員で動くぞ。 安心しろ。【王】のデータならある、 『解』」飛鳥がデータを展開させる。 「でてくる文字は、『王』一体。【臣】二体。[兵]が十体。 [兵]の強さは問題じゃない。さっきの〈魚〉の方が強い位だ。 問題は【臣】と『王』だ。 こいつらはそれぞれ人型をしている。 とんでもないスピードと怪力を持っていて、視界の範囲内で受けた傷は再生される」 データを閉じると飛鳥は少し考え込み、口を開いた。 「作戦を話すぞ。 『臣』にはそれぞれ、俺とニノ、海里と芽依の二人ずつで闘おう。 【王】は……晃大、優奈。 行けるか?」 「俺は大丈夫だけど、優奈は……」 「優奈の『無』は……てか打ち消しの文字は全部なんだけどな、 唯一『神の文字』の効力を打ち消せるんだ。 優奈はさっき一発打ったから残り一発。 晃大はそれを当てるサポートをして欲しい」 「……そういう事か…… 優奈、行けるか?」 「私、やるよ。 晃大がいるなら心強い」 「よし、で他の奴らは『兵』を倒し次第、援護にきて欲しい。 できるか?」 不安そうに、しかし覚悟を決めた顔で頷く一同。 「よし、行こう。 絶対全員で生き残るぞ!!」 「「「おぉ!!!」」」 飛鳥のかけ声と共に、一組の生徒は中庭に出ていった。
/77ページ

最初のコメントを投稿しよう!