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「…うぉっ」
でかい。
私立神島(かみしま)学園を見た、市原晃大(いちはらこうだい)の印象はそれだった。
東京の都会の一角にある、とてつもなく広い土地に建つ神島学園の正門はなんと鳥居だった。
(こんな普通じゃない学園に、俺みたいな普通な奴がはいっていいのかな。)
晃大は学園を前にしていきなり
不安になってしまった。そう、晃大は普通なのだ。唯一他と差がつく点と言えば容姿位だ。髪は全体的に短く、眉から数㎝上程で、ややつり上がった目はまつ毛がびっしり生え、鼻もそこそこ高く、唇は薄い。十分イケメンに入る部類だった。
晃大が鳥居をくぐるのにためらっていると、後ろから静かで、だがはっきりと聞きとれる声が聞こえた。
「どけ」
「あ?……うぉう?」
後ろにいたのは、身長168㎝と、やや低めの晃大でも見下ろす位の小さな
女の子。
そう、女の子、女の子が初対面の男に「どけ」。
「あぁ、ごめんなさい」
「わかればいい…」
全く表情を変えずに通り過ぎる
どけ女。
(てかよく見ると…)
最初は下手すると小学生に見えたどけ女、神島の制服をきているではないか!
しかも…
(め、めちゃくちゃ可愛いな…)
髪は腰まであるロング。
目はぱっちりしているのだが、どこか気怠そうに半開き。
胸は…
(ない! が、問題ナッシング!)
晃大の不安などとうに消えていた。
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