青年は目撃する

2/5
前へ
/9ページ
次へ
「なァんだ、あれェ?」 独特の口調だった。しかし、長年の付き合いであるからか、茶髪で猫っ毛のその男の話し方に違和感を持つことはなかった。 「どうしたのさ?トモ。」 学校帰りのスクランブル交差点だった。少し前方を歩いていたトモこと、腐れ縁の巽友喜(たつみ ともき)に声をかける。鞄の持ち手を両肩にさげ、ぶらぶらと歩いていた彼が振り返る。けだるそうなタレ目が振り向いて、ひゃひゃ、と笑った。両耳のピアスがじゃらじゃらと揺れた。相変わらず整った顔をしてるくせにすごい笑い方だなぁ。 .
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加