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「なァんだ、あれェ?」
独特の口調だった。しかし、長年の付き合いであるからか、茶髪で猫っ毛のその男の話し方に違和感を持つことはなかった。
「どうしたのさ?トモ。」
学校帰りのスクランブル交差点だった。少し前方を歩いていたトモこと、腐れ縁の巽友喜(たつみ ともき)に声をかける。鞄の持ち手を両肩にさげ、ぶらぶらと歩いていた彼が振り返る。けだるそうなタレ目が振り向いて、ひゃひゃ、と笑った。両耳のピアスがじゃらじゃらと揺れた。相変わらず整った顔をしてるくせにすごい笑い方だなぁ。
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