奇異な名前に動かされ始める青春。

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四月――、大分暖かい日が続き、気分も上昇しがちな季節― 俺、瑠鷙 芙亜、15才、彼女いない歴=年齢、は私立真島高校に入学した。 突然だが俺は自分の名が好きではない、いや、嫌いである。 「瑠鷙(るし)」という珍しいというよりはイタいジャンルに入るであろう名字、これだけで既に満腹だと言うのに何を血迷ったか、憎むべき我がクソ親父は「芙亜(ふあ)」などというこれまた最高にイタい名前を付けやがり、めでたく俺は一生涯、DQNネームという名の満漢全席を喰らい続ける羽目になったのだった。 この名前のせいで中学三年間は地獄の様な日々を過ごした。 入学早々、DQNに目を付けられ、逆らうのも面倒だが、それ以上に従うのも嫌だったのでつっかかってきたDQN達をことごとくフルボッコ。 教師達からは成績優秀な不良(手前味噌だが常に学年5位以内をキープしていた。)、扱いづらいという妙なレッテルを貼られた。 そうしてDQN達が俺を見るとそそくさとその場を去る様になった頃、何故かパシられていた、虐められていたという貧弱野郎やヲタ共に付き纏われた。 「本当に有り難かったんです!お礼に今度何か奢りますね!」と、 貧弱野郎には頼んでもいないジュースやら何やらを貢がれた。コイツ元々パシリの素質あったんじゃなイカ? あっ、しまった…まぁこのまま説明に使えるからよしとしよう。 何を隠そう、俺はヲタクである。ヲタ共に纏わりつかれ、漫画やDVDを貸されたりする内にヲタクにされてしまったのだ。 という訳で俺の属性(『属性』とか言っちゃう辺りがヲタなのだろうか)は、不良でヲタで秀才と世にも奇妙な組み合わせとなったのだった。 ――おーい、皆、笑っていいぞ
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